魔法のカードじゃないんだよ

そっとしておいてほしい系男子

感傷に浸るひまなんかなかった。


何年たったか忘れてしまった。
もう12年か13年だ。

ぼくには親戚家族がたくさんいて、
おそらく皆はそれを家族とまとめることでしょうが、
ぼくには家族は三人しかいません。
ははとにーちゃんとばーちゃん。

ぼくは生まれて数年で親父がバカをして母と二人で実家に帰ることになって、

そこには祖父祖母お兄ちゃんやお姉ちゃん(おじ、おば)がいて大層面倒みてくれてた。
あと飼い犬もいて、飼い犬のコロとお兄ちゃんがとくに幼いぼくの面倒をみてくれた。
コロは俺がうまれて少しして大きくなったら、
安心したように虹の橋を渡ったそうだ。


あとは構ってくれるのはにいちゃんしかいないのでにいちゃん子なぼく。

小学生の一年目か二年目の夏に
台所で泣き合う母と叔母をみてただならない事態なことは理解した。
そのあとおとなしく待っていたら、
にいちゃんが死んだと聞かされた。

生きている上で頼り切っていたのが母親とにいちゃん二人だけで

なんもいえなくなった、ただ泣くことしかできなかった。

そんなあとは周りはバタバタしてて
冷たくなったにーちゃんが辛くて、
連れて行って欲しいの一点で、
ずっとずっと泣いてた。


気づいたらにいちゃんはいなくなってた。

それからしばらく。

ぼくはまだにいちゃんから離れられずにいる。
ぼくはまだにいちゃんに離れたくなくて泣いている。


今日はにいちゃんにあえなくなった日。

笑顔で祈れなんかできっこない。